穂高連峰

上高地〜横尾〜涸沢ヒュッテ
涸沢〜北穂高岳往復〜ザイデングラート〜穂高岳山荘
涸沢岳往復〜奥穂高岳〜吊り尾根〜前穂高岳〜岳沢〜上高地

2007年8月9-11日

photo : T.Maehara

T君のHP


 

8日夕、仕事を終え空港へ、羽田へと飛ぶ。30分遅れにて羽田に到着。
本来の計画では今日は甲府まで行き、9日、松本から上高地に入る予定だったが、
列車に間に合わず、急遽、ムーンライト信州81号に乗り込む。
早朝、上高地に入ることとなった。


1日目(8月9日)

 

上高地〜横尾〜涸沢ヒュッテ

 

夜行列車の中ではあまり眠れず、疲れと眠気が残ったまま上高地バスセンターに到着した。

登山客でごった返している。しかも抜けるような青空。
眠気も吹っ飛んで、元気が充満してくる。

河童橋から
梓川の流れと穂高のやまなみ

いやが上にも気分は盛り上がる。


明神橋

明神池に寄って行こうということになり、橋を渡る。

拝観料(まさかの400円)を払って池の畔に出た。

 

どこかの雑誌、写真で見た光景

やはり朝霧が出るくらいの時間が良いとか、いいながら、
何枚も何枚もシャッターを切る。

山旅は始まったばかりなのに、、、、
この好天とさわやかな空気にすっかり酔っているようだ。


徳沢園

結構陽が高くなり、日陰にて小休止。
すでに沢山の人が思い思いに過ごしている。

中でもテントが並んだ光景に、
「こんな所でキャンプなんて良いなぁ」
と思わずため息が漏れる。

平坦な道をさらに進む。
左手には梓川の白く輝く石河原がちらちらと見え隠れする中、
道脇には様々な花が咲きほころんでいた。

いろいろな花々、、九州では見かけないものもあり、似たようなものでも名前が異なる。

梓川と明神岳。奥の山は前穂高か?

梓川の河川敷は白い広大な石の河原である。
普通の河原では考えられない広さだと思う。

その昔氷河が削った跡なのだろうか。

横尾への道脇にはたくさんの花が咲いていた。
どれもが色濃く、花ぶりも大きい立派なものだった。

そして立派なのは花だけではなく、
シダもこのように直径が1.5mにもなるのだ。


横尾にて

上高地は思えないカンカン照の中、横尾に着いた。
ここから涸沢までコースタイムでは3時間。

少し早いが横尾山荘の食堂で昼食にした。
メニューはラーメンとカレーライスだ。

カレーライスにした。

 

横尾大橋を渡り、いよいよ涸沢へ向けて出発する。

日差しは強いが風は涼しい。
いや涼しい以上に冷たさが感じられる。

所々、展望が開けると、奥穂高が姿を現した。

本谷橋の右岸ではたくさんの人が休息と沢の冷たい水で涼を取っていた。
私達も冷たい水で頭や首筋を冷やし、体温を下げたのだった。

 

Sガレを過ぎ登り詰めていくと、雪渓にたどり着く。
ここでも涼を取る。

いよいよもうすぐだ。


本日の宿は涸沢ヒュッテの予定だ。

結構長く感じられた雪渓の道もやっと終わり、石組みの道を登ると涸沢ヒュッテが現れた。

 

先ずはテラスに上がって涸沢の景色を見渡した。

生ビールで乾杯、う〜ん、うまいなぁ!
ここの売店の名物はおでんだ。
もちろんおでんもいただいた。

このまま北穂高へ上がる元気はすでになく、
おでんと生ビールで、すっかり、山小屋の住人と化している。

目の前に広がる涸沢カールの光景を、実際ここまで来て見ているのだ、
という実感が少しずつ湧いて来ていたのだ。

テントの数はいつか写真で見た風景とは全く違っていてかなり少ないようだ。

実際涸沢ヒュッテの泊まり客も空き部屋があるほどで、
ゆっくりと寝るスペースが確保できていた。

雲が夕焼けに赤く染まるのを見届けると、
夕食の合図が伝えられた。

夜行列車に乗ってここまでやってきた。
その疲れで、今夜は早く休めそうだ。


2日目(8月10日)

 

涸沢〜北穂高岳往復〜ザイデングラート〜穂高岳山荘


 
連日晴天の天気予報。

となればモルゲンロートに染まる穂高連峰を見たいもの。

 

小屋の西側へ出ると絶好のビューポイントがあった。
果たして、その後たくさんの人が三脚とカメラを携えてやってきた。

 

スリッパの足下がやけに冷たいがもう遅い。

涸沢岳あたりがうっすらと明るくなってきた。
いよいよ始まりだ。

徐々に赤みがましてきた。

人も動き出す。奥穂高へと向かう人の行列が見える。

まだ暗く沈んだ紺色の空をバックに涸沢岳が茶褐色に染まっていった。

気がつくとすっかり空は昼光色と化していた。

涸沢の谷にはうっすらと靄が漂い、朝らしい山風景を見せてくれている。

おなかがすいたぁ。

さあ朝飯だ!

 


朝食を済ませ、北穂高へと向かう。
今回はピストンにて奥穂高へと向かう予定にしている。

荷を軽くするためはずせるものは袋に詰め、
山小屋の玄関に置かせてもらって出発した。

北穂高への道にとりつくとすぐ左手にニッコウキスゲの群落。

まずここで足止めとなった。

ジグザグの道を高度を稼いでいく。
しかし草むらは高山植物の群落であった。

冷たい風が通っていく。日差しは強いが気持ちよい。

ハシゴ場を登ると南陵の尾根に上がる。
そこからは周囲の見晴らしがよい。

遠く富士の姿も。


中嶋豊氏「信州山歩き地図」より

予め地図を眺めていると、初めての者もあらかた道の様子が想像つく。
大変細やかであり、楽しい地図であり、登山者にも自然にも優しい地図である。


やっと北穂高の山頂(3106m)へ。

360°のパノラマが広がった。

北穂高山荘の奥から

槍ヶ岳と大キレット

雄大な姿に見とれてしまう。

再び山頂へ戻り、山頂でコーヒーを淹れる。
コーヒーの香りが香ばしい。

 

山頂からの眺めを満喫して、一旦涸沢へと下る。

北穂高から涸沢岳を経て奥穂高岳へと向かう人も多いようだ。
友人によるとこのコースは危ないところもあり、
初心者には向かないということであった。

ゴジラの背と称される前穂高岳

なかなか迫力があるなぁ

このギザギザの尾根の姿はこれからも、
何度も何度も目につくようになった。


涸沢小屋近くまで下りてくると登山道脇に沢の流れがある。
ここの水は冷たかろうと立ち寄った。

頭にかぶる。ヒエ〜・ツ・メ・タ・イ
だけど、冷たいだけでなく、とても美味しい水だった。

 

涸沢小屋ではラーメンを食べてみた。
しょうゆ味のラーメンだ。

塩分と水分、吸収の早い炭水化物が主であり、
なかなか山めしとして優れものだ。

それにとても美味しい。

再び涸沢ヒュッテに戻って、預けていた荷物をザックに詰め直す。
その重さに、なかなか出発しようという気が湧いてこない。

何しろ、北穂高岳、登り800m+下り800m
これから穂高岳山荘へは、登り700mである。

 

今日はこれが最後の登り。
やっと決心がつく。さあ行こう!

パノラマコースを辿る。
見晴岩の先には、噂に聞く涸沢カールのお花畑。

いろんな花が咲いている。写真で見るとおりである。
涸沢槍の姿も印象的だ。

やがて大きくカールをトラバースする道にとりつく。
ガレた道が思いのほか歩きにくい。
遠目にはなだらかで歩きやすそうだが、大違い。

 

そして下からはとても登れそうには見えないザイデングラートに取りかかる。
端的に言ってここは岩登りだ。

中嶋豊氏「信州山歩き地図」より

ゆっくりゆっくりとのぼっていく、
やがて小屋が間近に見えてきた。

やっとの思いで穂高岳山荘に着く。

小屋は人・人・人でごった返していた。
案の定、部屋でもロフトの天井の低いところに押し込められた格好である。

荷を片づけ、そうそうに表のテラスに陣取った。

もちろん手元には、缶ビール。

やがてコーヒーだったり、おつまみだったり、
途中、夕食を挟み、

そしてその後も、やはりウィスキー瓶も並んだ。


小屋の前から常念岳方面の雲の変化、空の色の移り変わり、
やがて陽が沈んで、夜のとばりが下りてくるのを、
まさにその現場にいながらにして楽しんだのだった。

初めは青空も見えていた。

次第にガスが湧いては晴、晴れては満ちてくる。

夕日が射し込むとブロッケン現象も

山の天気は変わりやすいとはいうものの、
この程度となれば、
これはなかなかに面白い出し物ではある。

やがて陽は沈み、人はすでになく、遠く夕焼けに染まった雲が一片。
さあ、われわれも、休もう。

山小屋の夜は、まだまだ静まる気配はなかった。

部屋のロフトへ上がり、自分の寝床に入ると、いつの間にか眠りに入っていた。


3日目(8月11日)

 

涸沢岳往復〜奥穂高岳〜吊り尾根〜前穂高岳〜岳沢〜上高地


3時に目が覚める
同室の方々は、さっさと準備の後、いつの間にか出て行かれた。

お天気具合はと、小屋の外に出てみると、

満天の星空だ! と思ったとたんに、
大きな流れ星が音もなく流れ去った。
(帰宅後思いついたのだが、これなペルセウス座流星群の一派だろう)

 

午前4時

小屋の前は早立ちの人々と、ご来光を待つ人などでごった返している。

ご来光は涸沢岳山頂で迎えようと計画していた。

涸沢岳への岩場の登りを喘ぎながら登る。
すでに山頂には4〜5人の先客がいらした。

思い思いに場所を確保し、夜明けを待つ。

少しずつ白んでくる地平線、徐々に姿を現す北アルプスの山々。
冷たく凛とした空気に包まれ、誰もが無言でご来光を待った。

涸沢岳山頂(3110m)

日の出は常念岳のやや右から上がるようだ。

そしてご来光が周囲を照らし始めた。

中央に聳えるのは北穂高岳、左奥の尖塔は槍ヶ岳、ご来光直下の山が常念岳。

日光が山肌を照らす。すると山々が目を覚ましてくる。

槍ヶ岳から続く縦走路

今日も大勢の人々がこの険しい稜線を辿ることだろう。

振り向くと、笠ヶ岳の山頂付近にも朝日が届いていた。

ずっと奥の山塊は白山だろうか。

穂高から伸びる三角形の影

一番濃い影が多分、私達がいる涸沢岳の影、中央のが北穂高だろうか?

すっかり陽が上がり、太陽の色も普段の色に戻っている。

ようやく下山することにした。朝食がまだなのは私達くらいかも。

 

案の定、朝食がまだなのは日本人では私達だけのようである。
韓国からのツアーの方々に、混ぜていただいて朝食を取ることができた。


小屋を出発したのはよいが、初めのハシゴ場からいきなりの大渋滞。

穂高岳山荘にはソーラーパネルと風車があって、
いくらかでも環境への負担を減らそうとしている。

私達人間がやはり一番に気持ちでいなくてはと思います。

ハシゴ場を過ぎるとしばらく登りが続く。

急ではないものの何故か足が上がらない。
ご来光登山で駆け上がった涸沢岳の疲れが残っているのか?

と、太陽の影で雪が舞っている。
雪渓の氷が舞い上がったのだろうか?

山頂が間近に迫ってきたとき、ふとふり返ると、
そこには絶景が広がっていた。

北穂高岳と涸沢岳の間に槍ヶ岳の姿。

ジャンダルム

独特のドーム状の形がユニークだ。
ざらざらと崩壊しやすそうな岩肌が荒々しい。

実際にこの頂の上に人が立っていたのが見えた!


奥穂高岳山頂(3190m)

モニュメントのあるところは人だかりで近寄れず、
そのまま通り過ぎてザックを下ろした。

ここで記念のコーヒーを淹れる。

う〜ん香ばしい。
しみじみ、美味しい

反対側はというと、

梓川が眼下を流れ、焼岳の姿、火口が見える。
その奥は乗鞍岳のようだ。

さてこれから、吊り尾根を通って紀美子平へと向かう。

一昨日私達はここから出発したのだ。

その時見上げた先に、
奥穂高から延びるここ吊り尾根があった。

今、その逆の視線で眺めている。

今回の山旅も終わりが近づいていると、初めて感じたのだった。

まだ涸沢方面を見晴らす尾根から、
鋭く険しい姿をした前穂高が迫る。

紀美子平にて、ザックを下ろす。昼食は前穂高から下山後にしよう。

 

岩場の安定しない急坂を登る。
途中、奥穂高やら涸沢岳などが見えだした。


前穂高山頂(3090m)

前穂高山頂は南北に細長い山頂となっている。
その北端まで進んだ。

目の前に広がるのは、奥穂高岳、北穂高岳、そしてその向こうに槍ヶ岳。
そのすそ野には涸沢の雪渓。

昨日登った北穂高岳への南陵の登山道。
やや霞む槍ヶ岳の姿も凛々しく威容を感じさせる。

もう、ここれから下りるばかり、
名残惜しいこの光景

写真は撮った。

後は、出きるだけこの目に焼き付けておこう。
この素晴らしい光景を。

前穂高山頂より、紀美子平と岳沢を俯瞰する

前穂高岳3090m - 岳沢小屋2180m

標高差900mの急な下りである。

急な岩場を下りに下る。

奥穂高の姿をふり返り仰ぐ。

イワギキョウの群落

ずいぶんと低くなってきたが、まだまだだ。
降りても降りてもなかなか終わらない下り。

だんだんと持病の膝痛が強くなってくる。

やっとカモシカ立場をおりると
ジグザグの道脇はお花畑が広がっていた。

ギラギラと照りつける中、岳沢の岩の枯れ河原を渡って岳沢ヒュッテへ

昨年は雪害のため営業休止だったそうだ。
今年は売店とキャンプ場は営業しているとのこと。
これは本当に助かりました。

水の補給ができるということは、
穂高岳山荘を出るときに、
その分、携帯する水分を減らすことができるということ。


岳沢から上高地までの下りもなかなか大変であった。
膝の痛みも最高潮に達し、なかなかスピードが出ない。

風穴を過ぎ、自然林の中へと入ってくると、
勾配もゆるみ歩きやすくなり、やがて、梓川の輝きと沢の音がして上高地へ着いた。

 

3日間の山旅の間、幸運なことに最高の天候であった。
花あり、朝焼けあり、雪渓あり、パノラマありも素晴らしい思い出をくれた。

山に自然に感謝である。


北穂高岳から

槍ヶ岳と北穂高岳

穂高連峰の主峰、奥穂高岳(3190m)、北穂高岳(3106m)
涸沢岳(3110m)、前穂高岳(3090m)と3000m級の山4座の頂きに立った。

これは我ながら凄いことだとあらためて感じたのだった。


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