鳴子川・大船林道

吉部〜暮雨の滝〜鳴子川〜大船林道

2005年11月13日

photo : T.Maehara


 

 吉部の登山口より一歩入ると、そこはまだ薄暗い杉林だ。以前もこのアングルで同じような写真を撮ったが、今日もまた同じように撮ってみた。レンズや絞りを変えてみた。

3日に訪れたときはまさに紅葉の盛りであった。
しかし今日は風情とはまったく異なっていて、なごりの秋である。

葉が落ちで明るい山道。落ち葉の道。

くすんだ色合いが憂いの秋を醸し出す。

 


誰もいない滝

水の色は深く蒼い

今日の目的は鳴子川を、ここ暮雨の滝より遡上することだった。

 

静かな渓流の遡上が続いた。
落ち葉に満ちた渓谷の姿がそこにあった。

 

深い森には清冽な水が生まれる。
出来た流れはやがて小川となって里へと出ていく。

おびただしい落ち葉が堆積する渓谷は生き物達にとって、
冬を行きの扱くためには欠かせない恵みとなる。

やがて落ち葉は分解されて海へと注ぎ、また豊かな海を造る。

鳥のさえずりもなく、ただ瀬音のみがある世界。

足が濡れないように、岩をつたい右岸へ、また左岸へと渡り歩く。

とうとう登山靴では渉れなくなった。
先は険しい岩場の連続のようだ。

戻るかどうか考えたが、地図を見ると、
右岸の小高い丘を越えるとまた平坦な河床になりそうである。

      丘を越えて行くことにした。

自然林の丘の上に朝日が射し込む。

静かすぎて心細くなる森だ。所々イノシシが掘り返した痕がある。

      

倒れ朽ちた木。もうやがて土に戻る。   

  

地面がクマザサ(ミヤコザサ?)に覆われている森だ。
葉が落ちて向こうの山肌が見通せ、朝日が林床に届く。

もうすぐ冬の到来だが、寂しいばかりではない、
次に繋がる命の連鎖を感じさせてくれる。

霜に当たったばかりと思われるまだ綺麗な落ち葉。

やっとの思いで丘を越えた。鳴子川に出たのは良いが、
また右岸へ左岸への繰り返しとなった。

暑い季節の沢歩きなら気持ちいいだろう。
しかしこの季節では憂鬱になるばかりだ。


林道終点の橋が見えた。ほっとした。

林道の脇に生えたクマザサの廻りに落ち葉が積もって、
クマザサの葉が一段と緑鮮やかに見えた。

※冬になると葉の縁に白いくまどり(隈取り)ができるからクマザサ(隈笹)というのだそうだ。

ヤドリギの木(勝手に自分でつけた)

ふり返ると晩秋の道が続いていた。

行く先の道もまたなごり秋の色だ。

所々にはまだ綺麗なモミジもあって、行く人々の目を楽しませてくれる。

透けた森の下はつもり積もった落ち葉の絨毯。

今日の山はまさしく「落ち葉の絨毯」がキーワードとなろう。


 

大船林道から近道へと入ったところ。

「行く秋を惜しむ」ように撮った1枚だが、

行く秋を楽しむ気分でもあった。

冬芽輝く

周りを見ながら歩いていたので、
いつの間にか林道に出てしまっていた。

その林道の際にあったカシワ?クヌギ?の木

初めて通る道だった。

まだまだ紅葉が綺麗だった。

しばしファインダーを覗きながら遊んだ。
何にもじゃまされない時間だった。

美しいと感じ、美しく撮ることだけに気持ちが向かった時間。

至福の時間を得た。

 淡い紅色が美しい。

やはりここでも落ち葉がメインテーマだ。

 綺麗な落ち葉。モミジばかりではないのが嬉しい。

林道起点の橋の近くでふり返ると、まだ必死に葉をつけている木々の姿が見えた。

 


紅葉の盛りはあっという間に過ぎ去ってしまった。

河床には無数の落ち葉が積もった。

落ち葉の絨毯は次世代への贈り物だ。

 曇空の光にも輝いて見える。

川の淀みに浮かぶ落ち葉越しに森の木々の叫び声が聞こえる。

今日はずっと落ち葉の絨毯を感じた1日だった。
いつの間にか、
わびしさよりも温かささえ感じるようになっていた。

 


 

1日として同じ景色はない。
この日この時の自然を感じ尽くそう。

 

 

大船林道- 憂いの秋 -

鳴子川 - なごり秋 -


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