由布岳

2005年4月24日

photo : T.Maehara


 

以前、母親が阿蘇の外輪山で見たサクラソウが忘れられないと話をしていた。
その群生地は放牧地で私有地となっていて、なかなか見る機会はなさそうだった。

ところがある雑誌で、由布岳の麓にサクラソウが咲いている写真を見つけたのだった。
これはさっそく行ってみるしかないと思った。

知人とその小さなお嬢さんを誘って出発した。

登山口から由布岳の麓に広がる草原地帯へと足を進めた。
左手には高々と聳える由布岳の姿。雲ひとつない青空。
由布岳には何回も来てはいるが、
麓の草原地帯をのんびり散策するのは初めてだった。
なかなか気持ちの良いものだ。

すぐに山に入らずに、こうしてあたりを散策するのもまた一興だ。

 


サクラソウどこだーいと探していると紫色の花。エヒメアヤメだ。

久しぶりの再会。まだ咲き始めで花の痛みもなく可憐だ。

あたりを探し回るうちにやっとサクラソウの群生地が見つかった。
なかなか遠目には目立たないもので、すぐ近くになって気づくという有様。

サクラソウと重なるようにヤマエンゴザクと思われる花も群生している。

 まだまだ蕾がたくさんで、旬はこれからです。

サクラソウの名の由来となった切れ込みのなる花びら

小1時間近くも過ぎてしまった。
急いで由布岳へと向かう。

 


時はまさに新緑の頃。芽吹きの季節だ。

新緑の山肌と一口に言っても、
緑色にも濃淡はあるが、紅葉したような色もあって、
色とりどりの新緑を発見できた。

強い朝日を浴びて由布岳へと向かった。もうすでに9時半近くとなっていた。

何の蕾か分からないが、今一斉に花や若葉が開こうとしている。

気持ちの良い森の中の散歩だ。

昨年後風で大きく傾いたヤマザクラもたくさんの花をつけていた。

遠目に紅葉のように見えた木はヤマザクラなどの赤い芽吹きがその正体だった。

森の木陰にはたくさんのスミレの花。

すけすけだった森もようやく新緑の輝きが戻ってきたようだ。

ゼンマイやスミレの山道をゆっくり歩く。この時期に由布岳に来るのは初めてだ。

四季を通じて登ることで、その山を丸ごと楽しむことができるようになると思う。

木陰に咲く黄色い花は?

キケマンのようだ。

 


視界が広がるようになると涼しい風が顔をなでる。

ジグザグに切った道路が遙か下に見渡せた。

随分と登ってきたと実感する。

上を見上げると西峰と東峰の頭がちょこんと見えた。

知人のお嬢さんMちゃんはだんだんと遅れ気味。

お父さんはといえば、さっさと前を登っていく。
私はその間にあって前も後も気になるのだった。

所々に緑の部分があるが、まだほとんどが枯れ草色だ。

これがGWを過ぎる頃には一面が緑に輝くのだ。

すじ状の雲が流れる。

こういうすじ雲がでるのは風が強いせい?

このあたりの上空は飛行機の航路となっているのか、

幾筋ものひこうき雲ができては消え、できては消えしている。

何となく霞んではいるのだが、くじゅうの山々ははっきりと見渡すことができた。

 


やっとマタエに到着                    

                 知人とM嬢はグロッキー気味。

ここで昼食をとることにした。

 

昼食後、2人のお尻をたたいて東峰へと促す。
M嬢はなかなか動かない。

それでもリュックを置いて身軽となって、重い腰が上がった。
随分と時間をかけてやっと東峰の頂上に立つことができた。

M嬢は機嫌が悪くカメラの方は向いてくれなかった。

湯布院の町を見下ろして、さっさと下山することにした。

ゆっくりとゆっくりと下りてくる。
Mちゃんはどうやら高所恐怖症なのかもしれない。

ここは湯布院の町が一望できるため、
その高度感は凄まじいものがある。

 


マタエ付近の日当たりの良いところにはたくさんのキスミレ。

馬酔木の花もまだまだ健在だ。

 

ジグザグを何回ともなく下りてくるとやがて樹木帯となる。

クロモジの花と若葉が初々しい。

あたりは春の色一色で満たされていた。

白いスミレ。スミレの仲間はたくさんあってなかなか判別が難しい。
フモトスミレか? ヒメミヤマスミレあたりだろう。

野イチゴの花

三つ葉の若葉

林床の倒木の上に新しい命

数十年後には立派な樹木となって、そびえ立っているだろう。

強い西日に斜面に落ちた樹木の影が長く伸びた。

完登した由布岳を眺め、知人とMちゃんはきっと鼻高々だったに違いない。

また山へ行きたいと思うか、二度とごめんだと思うのか? そのうち聞いてみることにしよう。

 


朝日に照らされる春霞

新緑の芽吹きにもいろいろな色があって、山肌を味わい深いものにしていた。
秋の彩りとはまた違った美しさを発見した1日だった。


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